大会長挨拶
謹啓
平素より日本早期認知症学会の活動に多大なるご理解とご協力を賜り,厚く御礼申し上げます.
第24回 日本早期認知症学会学術大会を2024年11月9日(土)~10日(日)の2日間にわたり,東都大学 幕張キャンパスで開催いたします. 本学会は認知症発症前の診断,治療・非薬物療法による対策,介護の早期介入,適切な治療による認知症の生活支援にフォーカスし, 医師,理学療法士,看護師,薬剤師,医工学・ICT・AIなどの研究者,介護のケアワーカや認知症ケア専門士などの幅広い専門領域が連携し発展的な議論を重ねております. そして,学術大会,学会誌等で社会に新しい情報を積極的に発信してまいりました.
2035年には国内85歳以上人口が1000万人を超え,さらにMCI(軽度認知機能障害)を含む認知症の人数は2020年に964万人,2025年には1500万人を超えると予測されています. 人口減少社会の日本において,認知症の重症化後に対策するのでは,認知症当事者の人生の質,家族の負担,社会経済的リソースの破綻を招いてしまいます. 今まさに早期認知症の対策を明らかにし,その効果を示すことが求められます.
本大会のテーマは「認知症発症前の予見,対策・実践,改善~早期認知症のアウトカムと未来~」といたしました.認知症の症状が発現する前の医学的予見,ヘルスケアの視点からの予見, 非薬物療法による対策とその効果・メカニズムなどの知見が少しずつ明らかになり,ICTなどの工学・情報技術によるセンシングの活用が期待されています.一方,認知症基本法が策定され, 地方自治体では具体的な動きと効果の見える化が求められます.医療,介護,ヘルスケア,行政の領域で市民の健康状況・認知症リスクを見える化できれば,科学的根拠のある対策を実現できます.
認知症に対する薬やスマートフォンによる健康アプリなどが開発されています.これらはヒトの生活を改善し,幸せにしているでしょうか?認知症を取り巻く環境は理解され, 将来に笑顔や幸福感はあるでしょうか?何が求められ,何を実現すれば早期認知症の対策が進められるでしょうか.
多くの皆様と議論し,多角的な知見を共有し,もう1歩踏み込んだエビデンスを構築し,今後に取り組むエネルギーとしたいと思います. 本大会では参加者の皆様と「夢を語れる場」をご準備したいと考えています.
多くの皆様のご参加,ご協力,ご支援を心よりお願い申し上げます.
第24回 日本早期認知症学会学術大会 大会長
東都大学 幕張ヒューマンケア学部 臨床工学科
教授 山下 和彦